ふるさと納税の控除は給与明細に正しく反映されている?ワンストップ特例の場合の税額控除の確認方法

ふるさと納税の控除は給与明細に正しく反映されている?ワンストップ特例の場合の税額控除の確認方法

確定申告が不要なお手軽制度として人気のワンストップ特例制度を用いた場合、ふるさと納税ぶんの還付は、翌年の6月から住民税の控除により行われます。つまり昨年のふるさと納税ぶんは、6月の給与明細から手取り所得に反映されるのです。

わたくし千鳥足のもとにも、6月の給与明細が届きました。昨年行ったふるさと納税は、きちんとわたくしの給与明細に反映されているでしょうか。念のため確認してみました。

なお、ワンストップ特例制度を用いず確定申告をした場合の住民税については、以下の記事を参照ください。

ふるさと納税の控除は給与明細に正しく反映されている?確定申告をした場合。住民税決定通知書を読み解く。

 
 

ふるさと納税の税額控除の確認でやってはいけないこと

4月・5月の給与明細を確認しても意味がない

前述のとおり、前年に行ったふるさと納税は、6月から住民税の控除によって還付されます。つまり、4月・5月の給与明細を見ても何も反映されていません。

住民税はそもそも、前年1月~12月までの収入をもとに計算されて、翌年6月~翌々年5月に適用・徴収されるものです。なので、ふるさと納税ぶんがきちんと還付されているかな?と云う確認は、6月の給与明細、あるいは5月or6月の給与明細と同時期に配布される「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」まで待ちましょう。

前月までの給与明細と比較して、手取りが増えただけで納得してはいけない

給与明細を見たとき、ふむふむ手取りが前月よりも増えているね♪と思いました。
前月までの手取りが47万ペケペケ円、今月の手取りが48万ペケペケ円。昨年のふるさと納税の利用額は125,000円でしたから、ざっくり言っておおよそ1万円が毎月還付されるはずなので、ほほう、ちゃんと出来てるじゃんと軽く納得していたのでした。

けれど、よくよく確かめてみたら、増えた手取りは8,100円でした。があん。

手取りは、見込み通りには増えていなかったのでした。
そういうわけで、手取りが増えた”と云う”雰囲気”だけで、満足してはいけません
手取りの増額分が、なんとなく見込んでいた額に近いからと云って納得してはいけません

きちんと確認することが大事です。

手取りの増額が見込みより少ないからって慌ててはいけない

ネットで調べると、正しく税額控除されていない場合には役所に連絡しなさいとありますが、慌ててはいけません。

わたくし千鳥足は土曜日に確認して慌てて、土曜日は役所に連絡がつかないので困ったのですが、結果、むしろ土曜日で良かったです。
何故なら計算は合っていたからです。笑

慌てて役所に電話して、赤っ恥を掻くところでした。
役所に連絡するのは、まずはきちんと自分で確認してからにしましょう。

給与明細を比較しても、正しく還付されているか?は確認できない

そもそも住民税は前年一年間の所得で決まる

気が付けば当たり前のことなのですが、住民税は、前年一年間(1月1日~12月31日)の所得によって、翌年の6月から翌々年の5月までの額が決定されるのでした。”6月”と云うキーワードで混同しがちですが、4~6月の平均給与で求める標準報酬月額をもとにした社会保険料とは仕組みが異なり、前年一年間の所得で決まるので、注意してください。

社会保険料を決める標準報酬月額のテーブルにはある程度の幅があるので、残業代などささいな変化を吸収して変動しない余地がありますが、住民税の大部分は前年一年間の所得に%を掛けてそのまま算出されるので、残業代や賞与の額に変化があるならば変わるものなのです。まずもってみなさん毎年変わるものだと思って良いです。

5月の給与明細と6月の給与明細を比較しても、そもそも住民税の額が変わっているので、その差額はふるさと納税の還付額とは一致しないのです。つまり、ふるさと納税したぶんが還付されているかな?…と5月と6月の給与明細を比較することは無意味です。正しく還付されていることを知るには、6月以降の今年の住民税が本来幾らであるのか?を知らなければいけません。

正解は「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」から読み解ける

6月以降の今年の住民税が本来幾らであるのか?そしてふるさと納税したぶんはきちんと還付されているのか?を確認するには、毎年6月頃に勤務先から配布される「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」を確認するのがもっとも手軽な方法です。

「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」を紛失した場合この通知書は再交付はできないとされています。
紛失した場合には、市・県民税の課税証明書を役所で取得すれば、様式はことなりますが、おおむね同レベルの情報を得られるはずです。

「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」の読み方

確認すべきは「税額」の「税額控除額」

「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」には二つ折りの折り目に跨る真ん中あたりに「税額」と云う欄があります。以下のような記載です。




税額控除前所得割額④ 354,060
税額控除額⑤ 75,302
所得割額⑥ 278,700
均等割額⑦ 3,500


税額控除前所得割額④ 237,515
税額控除額⑤ 50,201
所得割額⑥ 187,300
均等割額⑦ 1,800
特別徴収税額⑧ 471,300

ちなみに上表の金額は、わたくし千鳥足の「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」の内容そのものです。
市民税と県民税に分かれて、「税額控除額⑤」と云う項目があります。ふるさと納税によって今年還付される金額は、この中に含まれています。

絶対的なルール「ふるさと納税の還付額 ≦ 市・県民税 税額控除額」の関係

市民税と県民税の「税額控除額」の合計は、寄附金による税額控除(ふるさと納税の制度を通じて自治体に寄付し今年還付される金額)を”含む”ものです。よって、どのような場合でも、市民税と県民税の「税額控除額」の合計は、ふるさと納税によって今年還付されるはずの金額よりも大きな金額になるはずです。

わたくし千鳥足の場合、

市民税の税額控除額75,302円+県民税の税額控除額50,201円=125,503円

となりました。

いっぽう、わたくし千鳥足の昨年のふるさと納税額は125,000円でした。
内2,000円を除いた123,000円が還付見込額となるので、

還付額見込額123,000 < 市・県民税の税額控除額125,503円

の関係が成り立ちます。

この関係が成り立たない場合には、おそらくあなたの還付見込額が間違っていると思われます。ワンストップ特例の申請書は、納付した全自治体に正しく期日までに送付したでしょうか?不明な場合には、役所に問い合わせましょう。

上記の大小関係が成り立ちその差額がわずかなら、税額控除額は正しい

「ふるさと納税の還付額 ≦ 市・県民税 税額控除額」の関係が成り立ち、その差額が、前項のわたくし千鳥足の例のように、わずか2,503円(125,503円-123,000円)と少額であれば、まずもって、税額控除の額にはふるさと納税ぶんが反映されていて、正しい金額であると言って良いでしょう。

特に2,500円程度の差額であれば、それは控除額の中に「調整控除」も一緒に含まれている差額なので問題ありません。調整控除とは、所得税と住民税の間の人的所得控除額(配偶者控除など)の差を調整するためのもので、その金額を住民税額から直接引く税額控除です。

調整控除は、年間所得が200万超の場合にはおおむね2,500円程度となります。年間所得が200万以下の場合には、2,500円を超える額となる場合もあります。調整控除の詳細はお住まいの自治体のサイト等で確認してください。

差額がわずかで無い場合、ふるさと納税の還付額以外も税額控除の額に含まれている

税額控除の欄には、寄附金(=)の控除のほかにも、前出の「調整控除」や、住宅ローンの借り入れ後10年間適用される「住宅借入金等特別控除」などなどさまざまな控除項目が合算されているので、ふるさと納税以外の要素が混じっている場合、実はその検算は容易ではありません。

もっとも、住宅借入金等特別控除や医療控除を受ける場合には、そもそもふるさと納税のワンストップ特例制度は使えず、確定申告が必須とされています。確定申告をした場合の確認方法はまた異なりますので、次の記事を参考にしてください。

ふるさと納税の控除は給与明細に正しく反映されている?確定申告をした場合。住民税決定通知書を読み解く。

住民税は税額控除額を控除して確定される

市民税・県民税は、所得割額と均等割額より構成されます。
所得割額は名前のとおり所得に応じた負担であり、均等割額は所得に拘わらず決まる負担です。
詳細については、それぞれ自治体のHPなどで確認してください。

前項までで確認した税額控除額は、所得割額のほうに反映されます。
「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」上の「税額」の欄で以下の数式が成立することが確認できるはずです。

市民税の税額控除前所得割額⑥-市民税の税額控除額⑤ ≒ 市民税の所得割額⑥
県民税の税額控除前所得割額⑥-県民税の税額控除額⑤ ≒ 県民税の所得割額⑥

イコール(=)ではなく近似(≒)であるのは、100円未満が切り捨てのルールだからです。

「特別徴収税額」を12等分すると毎月の住民税

「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」の「税額」の欄では、

市民税の所得割額⑥+市民税の均等割額⑦+県民税の所得割額⑥+県民税の均等割額⑦=特別徴収税額⑧

と云う計算になっています。
特別徴収税額は年額なので、6月から翌年5月までを12等分して徴収されることになります。
ただし、各月の税額は100円未満を切り捨て丸められて、不足するぶんは6月ぶんに上乗せされます。

「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」の右半分にある「月割額」の記載でその様子が分かるはずです。

わたくし千鳥足の場合

昨年行ったふるさと納税125,000円ぶんは、2,000円を除いた123,000円ぶんが今年の住民税控除により還付されると見込んでいました。

「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」によれば、わたくし千鳥足の市民税・県民税の税額控除額の合計は125,503円と、-2,000円の額よりも大きく、そしてその差異は2,503円とわずかですので、ふるさと納税による控除は自治体に正しく理解されていると判断して良さそうです。

上記控除を反映して算定された特別徴収月額は471,300円であり、12等分すると39,275円。100円未満を切り捨てて39,200円が毎月の住民税額、ただし切り捨てたぶんの不足額を埋めるために、6月の住民税のみ40,100円となります。その12ヵ月分の合計はまさしく特別徴収月額471,300でございますから、ここで算出された毎月の住民税額が給与明細に反映されていれば、ふるさと納税ぶんが正しく控除されていることになります。

6月の給与明細の住民税欄はまさしく40,100円でした。

よって、わたくし千鳥足の給与明細には、ふるさと納税の還付額が正しく反映されていました。

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