仕事上の立替経費は、家計管理の敵である!と思うのです。それはときに家庭不和の原因にすらなりえます。
しかし昨日の敵は今日の友。過去何度も立替経費を原因とする夫婦喧嘩をかさねた我が家が、この問題をどのように乗り越えたか、整理します。
立替経費が家計と家庭にもたらす問題
家計管理の最大の敵、それは仕事の立替経費。
- 夫の出張が多くて家計管理がしづらい。
- 経費の立て替えでいつもお金が足りない。
- 営業職の夫。立替経費ってほんとにこんなにあるものなの?!
こんな具合に問題と不安がネットにあふれています。
出張旅費・交際費・タクシー代…嵩む立替経費が招く不安
出張が多い方、会食などの接待が多い方、日々の移動でタクシー代が多い方、経費はたくさん発生します。仕事内容・立場によりますが、月に数万円~数十万円、出張が多い方だと百万円前後まで嵩むこともあります。
仕事の内容・立場によって経費の使用回数・金額は差があるので、経験の無い方は「立替経費がこんなにあるわけがない!」そう思って不安になりがちです。夜遊びだとか浮気だとか、そういうことに使っているんじゃないの…?!とか。
立替経費が家計を不透明にする
下の一覧は、わたくし千鳥足がここ最近、仕事上で使用した経費のOUT(立替)とIN(精算)、そしてその差異の累積です。
OUT | IN | 累積差異 | |
---|---|---|---|
1月 | 227,534円 | 268,988円 | 41,454円 |
2月 | 310,719円 | 210,524円 | -58,741円 |
3月 | 275,173円 | 297,664円 | -36,250円 |
4月 | 178,566円 | 161,414円 | -53,402円 |
5月 | 190,533円 | 288,725円 | 44,790円 |
6月 | 230,466円 | 304,613円 | 118,937円 |
まず注目して欲しいのは、毎月のIN(立替)とOUT(精算)の差です。
例えば「2月」のOUTは31万円なのに、INは21万円しかありません。「おかねこんなに使ってるのにその分戻ってきてないじゃないのよ…!」不安になり怒る気持ちも理解します。
OUTが多い月もあればINが多い月もあります。累積での差異はもはやこのままでは管理不能で、家計と一緒くたにしてしまうと家計の管理までもが機能不全に陥ってしまいます。
OUT(立替)とIN(精算)の差は何故発生するのでしょうか?
領収書の紛失、請求し忘れ
領収書を紛失したり請求をし忘れているのだとしたら、最悪ですね。手の打ちようがありません。奥さまは旦那さんのこのようなミスを断固叱るべきです。そしてその使い道が確かに言い訳どおりであるか、きちんと確認しましょうね。
クレジットカードの締め日と経費の締め日が異なる
我が家はこれでした。
会社の経費の締めは月末で、月末にまとめて申請して翌月の15日に指定の口座に入金があります。
いっぽう、クレジットカードの締め日は15日で、引き落としは翌月の10日になっていました。
締め日がズレているので、OUTとINの差異が生まれます。同様の問題を抱えている方はたくさん居るはず。こうなってしまうと累積差異はいつまでも経っても±0にならないので、正しく請求して正しく入金されているのかすら把握しづらくなります。
さらに、経費を使った日によっては一時的に口座残高の不足が発生するケースがあります。例えば8月10日に会食をして多額の経費を切ったとしましょう。クレジットカードは15日締め翌10日引き落しなので、8月15日に締まり9月10日に引き落とされます。でも立替経費の精算は月末締め翌15日払いなので、8月末締めで入金があるのは9月15日なのです。
おかねの出入りの不透明さは家庭不和を招く
経費はお仕事で使っています。けして悪いことではありません。
けれどこれまで見てきたように、おかねの出入りが不透明になり、家計管理にも悪影響を及ぼすようになると家庭に不協和音が生まれます。
「またこんなにカードを使って!」…嫁に何度怒られたことでしょう。ましてや、OUTとINが一致しない場合、カードの引き落とし額が精算額を上回ってしまう場合もありますから、「ちょっとどうなってんのよ!」と怒り心頭どころか泣き出すときもあったのです。
何度も何度も締め日のズレの問題だと説明するのですが、頭で理解していても不安と不信感が募るらしく、くどくどと文句を言います。僕からすれば文句を言われる筋合いはないので、すこぶる腹立たしい。何故理解しないのかと苛々する。喧嘩になる。よくない。
お小遣いが補填されないストレスは喧嘩率が高い
今では経費は極力カードで支払うようにしていますが、以前は財布の中の現金で支払うこともままありました。
財布の中の現金は僕のお小遣いです。それが、仕事の経費として消えてしまいます。
お小遣いが消えてしまうだけでは困るので、嫁に補填を依頼します。けれど、ただでさえ経費を胡散臭いと思っている嫁です。小遣いが経費で消えたからと云って、快く補填なんぞしてくれません。財布の中身がスッカラカンなのに小遣いを補填してくれない、マジ困る、僕怒る。喧嘩になる。よくない。
そう、立替経費によって、夫婦ともども、それぞれにストレスを抱えていたのでした。
立替経費が生む問題の解決策
家計と経費の出入りを分ける
このような問題を解決するには、家計と経費の管理を分離することが最善・唯一の方法です。
我が家では、収支を生活収支と経費収支とにおおきく2分して管理するようにしました。そうすることで経費の入出金がもたらす雑音(そしてそれは最初の一覧のとおりそんなに小さくはない額の雑音)を家計から排除しています。
さて、どのように家計と経費の出入りを分けるのか見ていきましょう。
経費を現金では払わない
家計と経費の管理を分離するために、まず極力現金での支払いをやめることです。
「クレジットカードを持たせたらむしろもっと遣ってしまいそう…!!」そう思う奥様方、旦那様を信頼しましょう。そして現金払いこそが履歴が残らない、いちばん怪しい支払方法なのだと知りましょう。
交通費・宿泊代・会議費・接待費…、基本的には「経費を使う場面で現金しか選択肢が無い場面」は多くありません。旦那様がスタバやサイゼリアで会議費や接待費を使う方なら別ですが、仮にそうだとしてもその回数は多くはないでしょう。現金払いオンリーの隠れ家的お食事処、頑固おやじの焼き鳥屋、そういうお店もありますけれども、会議や接待で使わなければ良いだけです。
キャッシュレスでの支払いは、以下のようなメリットがあります。
- 一時的ではあれ家計から現金が消える現象を防ぐことができる
- 財布の中のお小遣いも減らずに済む
- カード明細や家計簿アプリに記録が残るので透明さが増す
- 同様の理由により、経費の請求漏れがなくなる
現金以外での支払い手段は、使う場所・頻度に応じて決めましょう。事前にチャージが必要な電子マネーの類よりも、後払いになるクレジットカード等のツールを使ったほうが管理しやすいです。
数年前までは、ほんの数メーターのタクシー代、打ち合わせでの少額の珈琲代、これらをクレジットカードで支払うのは面倒だし、何よりも「この少額でカード?」と云う気恥しさがありました。止む無く現金で支払う場面もあったのです。でも近年はキャッシュレス環境も改善されて、クレジットカードで支払いペンで署名する…という面倒さとは異なる、手間のかからない支払方法がたくさんありますね。
具体的には、我が家ではiDを経費の支払いに使用しています。
家計と経費で支払手段を一緒にしない
経費の現金払いをやめて、キャッシュレスのツールを使うことにしました。けれど、それだけではダメです。
経費の支払いを家計とスッパリ分離することが肝要です。つまり、家計と経費とで使用するキャッシュレスのツールを分けましょう。
立替経費用に専用のクレジットカードを用意するのが良いです。小遣いや家の日々の買い物でもクレジットカードを使っているのであれば、クレジットカードをもう1枚作るのです。
「クレジットカードをたくさん持つなんて不安!」「年会費だってかかる!」そう言う方も居られるかも知れませんが、クレジットカードの利用を見える化すれば良いのですし、年会費無料のクレジットカードなんてたくさんあります。
わたくし千鳥足の場合には、家計と経費でクレジットカードを最低2枚に分けて使っています。経費の立て替えでは出来る限り現金を使わず、経費専用のクレジットカードで支払います。
引き落し口座も家計と経費で分ける
さて、経費の支払いは現金払いを避け、経費専用のクレジットカードを用意することにしました。あともう一歩です。
次は、クレジットカードの引き落とし銀行口座を家計と分けましょう。
具体的には、経費用の銀行口座を用意します。すでにある口座で使っていないものがあればそれで良いです。おかねを直接出し入れすることはほぼ無いので、使い勝手がいまいちな銀行口座でも問題ありません。空いている口座が無ければ新しく作りましょう。
経費専用のクレジットカードの引き落とし口座にその銀行口座を指定します。引き落とし口座の変更は、ほとんどの場合、ネットで手続きができるはずです。
そしてさらに、会社からの精算額の入金先も、その銀行口座にしますこれはお勤めの職場によって変更申請の仕方が決まっているでしょうから、それに従って手続きしましょう。
この銀行口座では、経費専用クレジットカードの引き落とし、会社からの精算額の入金のほかには、おかねの出入りが原則発生しないようにします。そうすることで経費と生活費とのまじりあいを防ぎ、かつ引き落とされる額が入金される額の範囲でまかなえていることを夫婦で確認し合えるようになります。夫婦円満になれます。
クレジットカードの締め日を経費の締め日に合わせる
経費用クレジットカードの締め日は、立替経費の締め日に合わせて設定しましょう。
クレジットカードの締め日・引き落とし日の変更は、ほとんどの場合ネットからできます。クレジットカードの締め日と引き落とし日の選択肢は、カードの発行元によって制限があるので、まずは確認しましょう。
仮に経費の締め日と合わせられない場合には、いっそ締め日を合わせられるカードに乗り換えてしまうのが良いです。経費と家計を分離することで家庭の不和は解消されますが、INとOUTのズレによる資金の管理はやはり面倒だからです。
わたくし千鳥足も、前にも記述しましたとおり、もともとは締め日がズレたままクレジットカードを使用していました。これでは経費を使った日によって、精算よりも先に口座からの引き落としが発生してしまいます。例えば8月10日に会食をして多額の経費を切ったとしましょう。クレジットカードは15日締め翌10日引き落しなので、8月15日に締まり9月10日に引き落とされます。でも立替経費の精算は月末締め翌15日払いなので、8月末締めで入金があるのは9月15日なのです。
このクレジットカードの締め日を経費精算の締めと合わせて、月末締めの翌月26日払いに変更すると劇的に管理が楽になります。何故なら経費の精算とカードの引き落としが逆転することが無くなるからです。これはほんとうに、劇的にスッキリしますよ!
マネーフォワードは「グループ」を分けて管理する
家計簿アプリ「マネーフォワード」を使用して家計を管理している方は多いと思います。
マネーフォワードに経費用のクレジットカードを登録してみたら、立替経費の履歴がものすごい件数展開されてしまって、家計の収支が把握しづらくなってしまいます。このような場合には「グループの追加・編集」と云う機能を使って、家計と経費でグループを分けましょう。
マネーフォワードは無料会員でも1件のグループが作れます。毎月500円を支払いプレミアム会員になれば、複数のグループを作れるようになります。これを使用して家計と経費を分けて管理します。
「家計」と「経費」の2グループを作成し、以下のように銀行口座とクレジットカードを紐づけるだけです。
- 「家計」グループ
- ☑家計用銀行口座A
- ☑家計用銀行口座B
- ☑家計用銀行口座C
- ☑家計用クレジットカードA
- ☑家計用クレジットカードB
- 「経費」グループ
- ☑経費用銀行口座
- ☑経費用クレジットカード
こうすることで、グループを切り替えれば、家計の収支だけを確認すること、また経費の収支だけを確認することができるようになります。家計の収支が経費の膨大な支出明細で流されてしまうことはありませんし、収支がハチャメチャになって管理不能に陥ることもありません。
我が家では、株式や投資信託などの資産運用もしているので、マネーフォワードのグループは、「家計」「資産運用」「経費」のおおきく3つに分けて管理しています。
マネーフォワードに毎月500円払うのは勿体ない!と思う方は、グループ「家計」かグループ「経費」いずれかを作成して、家計のみの収支か経費のみの収支か、いずれかに着目して見れるようにすれば、管理できるにはできます。
管理できれば、立替経費はむしろ家計の味方になる!
さて、家計の敵であった立替経費ですが、管理さえ行き届くようになれば、むしろ家計の強い味方になります。
立替経費でポイントを貯める!
立替経費を現金で払わずカードで支払うのには、もうひとつ重大な意味があります。
そう、クレジットカードでの支払いは、多くの場合ポイントが付与されるのです。(超重要)
わたくし千鳥足はおおむね月に15~40万円(ときに100万円近くの月も)、年間ではおおよそ300~400万程度の立替経費の支払いをします。全額をクレジットカードで支払うとしましょう、ポイントの還元率が1.0%のクレジットカードでも、年間で30,000~40,000円相当のポイントが付くわけです。
経費用に使用している三井住友カードのゴールドカードは、マイペイす・リボを適用し、毎年300万円以上利用することで、還元率は1.3%まで上がります。年間利用額が300~400万円の場合、年間39,000~52,000円相当のポイントが付くわけです。立替経費がたくさん発生する方ほど、経費用のクレジットカードにはポイント還元率の高いクレジットカードを選ぶと良いですね。
なお、我が家のメインカードはもう1枚、三井住友カードのエブリプラスを使用しています。ゴールドカードよりもこちらのほうが還元率が高いので、経費よりも金額が多い家計の支出のほうではエブリプラスをメインで使用しています。
貯めたポイントで夫婦円満
たとえ立替経費の支払いで貯めたポイントでも、それは我が家のポイントです。ここは悪びれずにおきましょう。立替経費としていったん我が家の財布からおかねを出しているのです、利息として受け取り有り難く使用しましょう。
三井住友カードでは、ポイントはたくさんの別のポイントに交換することもできます。
iDバリューに充当して、iDの支払いに充てることもできます。各種のギフトカードや、オンラインギフトのコードに交換することもできます。
家計管理の敵であり家計不和の一因だった立替経費は、いまや家計の味方、夫婦円満を保つ「かすがい」になったではありませんか…!
かつては、立替経費の一時的な出費がつらくて「会社でカードを用意してくださいよ!」と勤め先に文句を言っていた僕ですが、立替経費のお得に味を占めた今は、もう騒がないことにしています。
我が家のクレジットカード
経費用のクレジットカードには、すでに記載しているとおり、三井住友カードのゴールドカードを使用しています。
いまどき年会費がかかるゴールドカード…?と思うかも知れませんが、年会費は最小4,000円まで抑えることができますし、マイペイすリボを適用することで還元率は倍の1.0%に高まり、かつ利用額が多いためボーナスポイントが付き、還元率は1.3%まで引き上がります。毎年300万円以上使用するなら、年会費を差し引いても、年会費無料で還元率1.0%の Yahoo! JAPANカードや楽天カードよりも高い還元額になります。
ちなみに家の買い物では、以下のクレジットカードを場面に応じて使い分けています。
- 三井住友VISAエブリプラス
汎用。マイペイすリボ適用で還元率は常時1.5%、ボーナスポイントでさらにアップ!
- Yahoo! JAPAN カード
主にYahoo!ショッピング用。Yahoo!ショッピング利用で還元率3.0%以上。
- 楽天カード
あんまり使いません。
立替経費で素敵なポイントライフを!
主に我が家でのやり方をもとに、立替経費の管理の仕方について記載しました。
立替経費は家計の収支をややこしくし、夫婦の不和を生む要因ともなりますが、うまく使いこなせばたくさんのポイントをゲットし夫婦円満のもととなります。是非素敵な立替経費 de ポイントライフをお送りください!
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