源泉徴収票の読み方

源泉徴収票の読み方

年末年始を経過し、みなさん手元に源泉徴収票が届いた方も多いのではないかと思います。わたくし千鳥足が勤める会社では、給与明細・賞与明細と同じように、源泉徴収票も電子で届くようになりました。失くしがちなものなので、電子で受け取り電子で保存・保管できることは良いことです。

源泉徴収票は、「おう、俺の年収もここまで届くようになったか」くらいの気持ちでしか見たことが無かったのですが、確定拠出年金の節税効果を調べていたら源泉徴収票にたどり着き、そして源泉徴収票の読み方をまるで知らないことに今更気付いたのでした。

 
 

僕の源泉徴収票

源泉徴収票って何?と云う方は居ないと思いますが、源泉徴収票の中身について語るにあたって、イメージを載せておきます。最近の源泉徴収票はこんな形です。平成28年分の源泉徴収票から、フォーマットが変わっています。いままでよりも一回り大きく、縦方向の用紙となりました。

モザイクこそかけますが、これ僕のリアル源泉徴収票です。リアルでない例題を作るよりもモザイクかけて晒すほうが楽だったのでこのまま利用させてもらいます。

各項目の金額は、一見簡単に算出できそうでいて、電卓を使って書かれている金額を足し算引き算してみても、なかなか合いません。そう、源泉徴収票の分かりにくさは、表記されている金額の足し引きだけでは算出できないところにあります。

源泉徴収票の各項目の見方について

支払金額

図における①の額です。

これは、単純に平成28年1月~12月に支給された給与・賞与明細の「課税合計」額の累計になります。通勤手当は(交通機関利用で上限枠内であれば)非課税なので、この合計額には含まれません。所謂「年収」と呼ばれる額になります。

給与所得控除後の金額

図における②の額です。

いきなりよく分からん世界に入ります。「給与所得控除後の金額」における「給与所得控除」とは何ぞや、と云うことを理解しなければいけません。

「給与所得控除」はサラリーマンの必要経費と言われるものです。「スーツ代など会社には請求できないけれど、働く上で必要な経費はサラリーマンにだってあるでしょう?」ということで、収入に応じて一定額を課税の対象から控除してくれるのです。その控除金額を差し引いた控除後の金額が「②給与所得控除後の金額」になります。

では自分の「給与所得控除」の額はいくらになるのか。これは年収(つまり「支払金額」)に因ります。それは、国税庁のサイトに置いてある「平成28年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で確認することができました。所謂「年収」(源泉徴収票上の「支払い金額」)の範囲と給与所得控除後の金額が表になって整理されています。

僕の「年収」は①の額のとおり、10,424,500円なので、下図の赤枠の項が該当します。

「給与等の金額に95%を乗じて算出した金額から1,700,000円を控除した金額」とあります。

 10,424,500円 × 95% - 1,700,000円 = 8,203,275円

いえっさー。「②給与所得控除後の金額」とピッタシ合いました。
つまり僕の年収におけるサラリーマンの必要経費、「給与所得控除」額は、

「①支払い金額-②給与所得控除後の金額 = 2,221,225円

となります。ほおん、「必要経費」結構認められてるのんね。

ちなみに給与所得控除には上限があって、平成28年においては年収1200万を超えると一律230万の控除となっています。これが平成29年からは、年収1000万を超えると一律220万の控除となるらしいです。この増税、僕めっさ影響被るではないですか。そんな増税、いつ決まったの…。

所得控除額の合計額

図における③の額になります。
なんとなく額が合いそうだからと「①-②=③」?と試してみると微妙に合いません。合わないはずです、全然違う計算式なのですから。

「所得控除の額の合計額」は、配偶者控除、生命保険料控除など、さまざまな控除額を合算した金額です。分かりづらいのは、その各種控除額の細目が紙面には記載されていないためです。僕の「所得控除の額の合計額」は、以下のように求めるらしい。

項目 控除額 控除内容・算出方法
基礎控除 380,000円 全員が一律に受けられる控除額。
配偶者控除 380,000円 所得が38万以下の配偶者がいる場合に受けられる控除額。
社会保険料控除 1,555,843円 源泉徴収票上の「社会保険料等の金額」。毎月の給与・賞与から控除されている「健康保険料」、「介護保険料」、「厚生年金保険料」、「雇用保険料」の累計額。
生命保険料控除 113,401円 源泉徴収票上の「生命保険料の控除額」。票の下のほうにある各種保険料の額から算出します。

  • 新生命保険料控除
    支払額は157,524円。8万円超は一律4万円。ですが、次項「旧生命保険料」の支払いもあり、そちらのほうが控除額が大きいため、旧生命保険料による控除が有効となります。よってゼロ円。
  • 旧生命保険料控除
    支払額は107,665円。10万円超は一律5万円。
  • 介護医療保険料控除
    支払額は21,642円。2万超4万以下は1/2+10,000円。21,642 ÷ 2 + 10,000 = 20,821円。
  • 新個人年金保険料控除
    支払額無し。よって控除額もゼロ。
  • 旧個人年金保険料控除
    支払額は70,320円。4万円超8万円以下は1/4+25,000円。70,320 ÷ 4 + 25,000 = 42,580円。

以上を合計すると、
0+50,000+20,821円+42,580円=113,401円

地震保険料控除 31,344円 地震保険料の年間支払額から算出する。僕の年間支払額は31,344円。5万以下の場合はそのまま。
合計 2,460,588円

そして「②給与所得控除後の金額」から「③所得控除の額の合計額」を差し引いたものが「課税所得」となります。

いよいよ源泉徴収税額

図における④の額になります。
④の源泉徴収税額は、所得税と復興特別税によって構成されています。

所得税の税率は課税所得によって変わります。直近の税率は以下のページを見れば分かります。

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

僕の課税所得は、「②給与所得控除後の金額:8,203,275円 - ③所得控除の額の合計額2,460,588円 = 5,742,687円」です。

 課税対象額(千円未満切り捨て):5,742,000円 × 税率:20% - 控除額:427,500 = 720,900円

復興特別税

東日本大震災の復興特別税が、所得税額×2.1%かかります。

所得税額:720,900円 × 2.1% = 15,138円
100円未満を切り捨てて、15,100円。

2つを合算すると…

所得税額:720,900円 + 復興特別税:15,100円 = 736,000円

おお、源泉徴収票の額と一致しました!

読み解くのは面倒くさい、でも…

源泉徴収票の各項目を手計算で算出するのは案外面倒で手間がかかります。
でも一度自分で算出してみると、要するに何が所得税の控除対象となり節税となるか、気付きを得られるので、一度は自分で試してみるべきと思いました。

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