2021年11月10日、6月末 にNASDAQへ上場した [XMTR]ゾーメトリー より、上場後2回目の決算発表がありました。
この記事では、[XMTR]ゾーメトリー 社 2021年度Q3の決算について整理します。
Xometry(ゾーメトリー)社 Q3 2021 主要財務ハイライト
2021年度3Qの主要財務ハイライトです。
売上の成長はさらに加速
売上は$56.7M、YoY(前年同期比)で+35%でした。QoQ(前Q比)は+12%です。
2QはYoY+45%でした。成長が鈍化しているのでしょうか?そういうわけではありません。2020年度の特定顧客からのマスクの発注を除けば、2QのYoY+53%、3QのYoY+77です。成長は加速しています。
売上高の伸びは、買い手・売り手にとって同社のサービスがますます魅力あるものになっているためだと説明しています。
- 買い手に対しては、厳しいサプライチェーン環境が影響している。同社のサービスを利用すると買い手は便利で幅広い売り手の能力に瞬時にアクセスできる。
- 売り手に対しては、原材料やその他供給品へのアクセス支援、フィンテック商品の提供によるキャッシュフローの改善支援。
売上総利益率が改善
売上総利益は、$14.5M、YoY+42%、QoQ+22%でした。
売上総利益率は25.6%で、2Qに対し+210bp、1Qに対しては+320bpと、顕著な改善が見られます。
売上総利益率の改善は、以下2点に拠ると説明されています。
- AIを活用した市場での価格設定
- 売り手のネットワーク拡大によるマッチングの改善
顧客の増加と大口注文の増加
直近12ヵ月で1回以上の支払がある顧客数は26,187社、YoY+61%、QoQ+9%でした。
売上の95%が既存顧客によるものであり、直近12ヵ月で$50,000以上の支払がある大口顧客は603社、YoY+67%、QoQ+18%です。
エネルギー、産業技術など多くの分野で力強い伸びがあり、民生機器、医療機器、航空宇宙・防衛分野でも採用が進んでいるとのことです。
更なる成長を謳うガイダンス
4Qは更なる成長を謳っています。
売上高はYoY+58~63%、これはFY2020における特定顧客からのマスクの発注を除けばYoY+75~80%に相当します。
売上総利益率も、4Q、そしてFY2022に向けてさらに改善されていくと説明されています。
Xometry(ゾーメトリー)社 Q3 2021 のトピックス
決算説明会で語られた2021年度3Qのトピックスを整理しておきます。
Big Blue Saw 社の買収
ゾーメトリーは、11月初旬に Big Blue Saw 社を買収していることを明らかにしました。
Big Blue Saw 社は、非常に小さな会社ですが、15年以上前に一人のソフトウェアエンジニアによって設立された、非常に優れた会社であると説明されています。この会社はレーザージェットとウォータージェットのための即時見積機能を構築し、そのための独自のエンジンを作っていました。その即時見積技術と蓄積されたデータを活用することが買収の目的であるとしています。
ゾーメトリーはこの買収によって、レーザージェットとウォータージェット市場における能力を加速させることができるとしています。
Factory Four 社 の買収
ゾーメトリーは、同じく11月初旬にもう1社、FactoryFour 社を買収していることを明らかにしました。
FactoryFour 社は、SaaSベースのソフトウェア・ソリューションとして、製造業者がリアルタイムで生産状況を把握し品質管理を行うことで、リードタイムの短縮やデータに基づく意思決定の支援を提供している企業です。
FactoryFour 社のこのソリューションは、ビジネスをより効率的かつコスト効率よく運営するための一連のツールとして、ゾーメトリーが売り手に対し提供するプラットフォームに組み込まれます。またこのサービスは、2022年後半には、ゾーメトリーが売り手に対し提供している既存の金融サービスとも統合する予定としました。
ゾーメトリーは、こうしたプラットフォームの提供によって、売り手向けのサービスが引き続き大きく成長することを期待しています。
Instant Pay の導入
ゾーメトリーは、8月中旬に売り手向けの金融商品「Instant Pay」を導入しました。
従来より導入していた「FastPay」の成功を受けての導入であり、売り手の企業のキャッシュフローを改善し、市場により深く関与するための新たな金融商品と説明しています。
ゾーメトリーが提供する金融商品の利用率は向上しており、支払額が増加する傾向にあるとされています。
サプライチェーン環境の混乱やインフレ圧力による悪影響はない
新型コロナ・ウイルスとコロナ禍からの経済活動再開に伴うサプライチェーンの混乱は、ゾーメトリーの業績に影を落とすのでは?という危惧がありました。またインフレ圧力の影響も気になるところです。
同社は、この懸念を一蹴しました。
サプライチェーン環境については、同社の注文の大半は国内で処理されており、海外での配送の遅れなどの問題を軽減することができるとしました。これは買い手を支援すると同時に、売り手も支援しています。売り手であるメーカーには、低コストで入手しやすい現材料やツールへのアクセスを支援し、サプライチェーンが混乱しているこの環境下でも優れたパフォーマンスを発揮しました。3Qでは、新たにメキシコの売り手のネットワークを構築し、買い手に新しいエコノミーオプションの選択肢を提供しており、より柔軟な利用を可能としました。サプライチェーンの混乱は、同社にとってはむしろ好機なのだと言えましょう。
インフレ圧力については、同社のプラットフォームは、毎週価格設定を更新しておりインフレによる悪影響は無いとしました。材料費や人件費の変化をもとに価格が決定され、売り手であるメーカーの技術や稼働率なども考慮しマッチングが行われます。
同社のマーケットプレイスでは、あらゆる環境、特にサプライチェーンの問題を抱える厳しい環境において、買い手と売り手の両方を支援することができると語っています。
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