【投資する専業主婦(夫)の確定申告】配当収入は総合課税がきほん、住民税は申告不要制度か分離課税を選択する

【投資する専業主婦(夫)の確定申告】配当収入は総合課税がきほん、住民税は申告不要制度か分離課税を選択する

確定申告の時期になりました。みなさん準備は進んでいますか?

わたくし千鳥足は、過去に自分で残した確定申告用の記事をもとに、のんびり準備を進めています。まだ資料を出してくれない証券会社もあるのでのんびりです。

さて、今回は投資をする専業主婦(夫)の株式譲渡益や配当収入の確定申告に関する考察です。

 
 

投資をする専業主婦(夫)の確定申告

勤め人の配偶者を持ち、自身は家事や子育てに専念する専業主婦(夫)をする傍ら、自身の貯蓄やヘソクリを元手に株式等の投資をする方は多いと思います。

値上がり益がメインか、配当収入がメインか、株主優待がメインか、投資スタイルは色々ありますが、株式を持っていれば多くの場合配当収入が発生しますし、売買する方は売却益が出ることもあるでしょう。

配当収入は所得税・住民税が源泉徴収されますし、源泉徴収ありの特定口座では売却益についても源泉徴収が行われています。源泉徴収されているから確定申告はしなくていいや。面倒そうだし。そう思っている主婦(夫)の方はチョット待った!!! きちんと検討しましょうね。

多くの場合、専業主婦(夫)の譲渡益や配当収入は確定申告したほうがお得

勤め人である配偶者が勤め先の健康保険に加入していて、専業主婦(夫)ご自身がその健康保険の扶養に入っている場合、専業主婦(夫)も確定申告をしたほうがお得な場合が多いのです。

以前「主婦(夫)の方も確定申告をしたほうが良い」と云う内容を記事にしました。

【確定申告】専業主婦/主夫も配当収入は確定申告したほうがお得?源泉徴収されてるから良いやは危険!確認しましょう。

確定申告をすると多くの方(年収2400万以下の方)は所得控除48万円の基礎控除の権利を得ます。この基礎控除の48万枠と、勤め人である配偶者が得る配偶者控除/配偶者特別控除の枠、その大きさおよび適用される税率をもとに専業主婦(夫)も確定申告をしたほうがお得かが決まります。

たとえば、勤め人である配偶者の所得が1000万円を超えているなら、そもそも専業主婦(夫)の所得を問わず配偶者控除/配偶者特別控除が適用されないので、専業主婦(夫)も確定申告をして基礎控除の枠を得たほうがお得です。

もっとも、専業主婦(夫)が株式の運用益を確定申告せずにおくならば配偶者の配偶者控除/配偶者特別控除が減額ないしゼロになることはありませんが、確定申告をするとその可能性が出てきます。投資がお上手で株式でガツン!と儲けているような専業主婦(夫)の方は、勤め人である配偶者の配偶者控除/配偶者特別控除の枠を消し潰してしまう可能性があるので留意しましょうね。

専業主婦(夫)の確定申告、配当収入は総合課税がきほん

株式で得る利益の内、売却益()は分離課税で申告します。

いっぽう配当収入は総合課税か分離課税かを選択できます。

配当収入で分離課税を選択すると所得税の税率は15%固定です。総合課税を選択すると累進課税になりますが、専業主婦(夫)の収入が配当収入のみであれば195万円までは所得税が5%の税率で済みます。その差10%。さらに配当控除も適用できます。専業主婦(夫)が確定申告をする場合、配当収入は総合課税を選択するのがきほんです。

ただし株式の売買で損失が出ている場合には、配当収入を分離課税で申告することで損益を通算することができ、税金を抑えられる場合もあります。分離課税がお得か総合課税がお得かは、確定申告書作成コーナーで課税方式を切り替え確認すると良いでしょう。

住民税の課税方式の選択方法

株式の売却益()や配当収入は、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できます。異なる課税方式を選択する場合、確定申告とは別に、自治体に住民税の申告をする必要があります。

住民税を申告せず、所得税と同じ総合課税を適用するのは損

住民税を申告せずにおくと、確定申告で選択した課税方式が住民税にも適用されます。

つまり専業主婦(夫)のきほんである総合課税を確定申告で選んだ場合、住民税でも総合課税が適用されます。

住民税における総合課税の税率は10%なので、これは源泉徴収されている5%、および分離課税の5%に対し倍の税率となってしまいます。住民税では、配当収入や売却益()を総合課税で申告するのは勿体ないです。

申告不要制度の利用が不利な場合もある

おおかた、所得税は総合課税で、住民税は申告不要制度で申告するのがセオリーであるとされています。所得税を総合課税にして税率を抑え、住民税の申告で申告不要制度を選択することで住民税を源泉徴収のままに留めておくわけです。

ただ、住民税の所得控除にも基礎控除の枠があるんですね。誰にでも適用される43万円の枠です。住民税を総合課税ないし分離課税で申告すれば、誰でもこの基礎控除の枠を得ることができます。この基礎控除の43万枠と、住民税を申告しても勤め人である配偶者に残る住民税の配偶者控除/特別配偶者控除の枠、その大きさをもとに専業主婦(夫)が申告不要制度を用いたほうがお得か否かが決ま4ます。

たとえば、勤め人である配偶者の所得が1000万円を超えているなら、そもそも専業主婦(夫)の所得を問わず住民税も配偶者控除/配偶者特別控除は適用されないので、専業主婦(夫)は申告不要制度を用いずに別の選択をして、基礎控除の枠を得たほうがお得です。

申告不要制度が不利なら分離課税を選択する

申告不要制度を用いるよりも基礎控除43万円の枠を活かしたほうがお得となれば、株式の売却益()や配当収入は分離課税を選択しましょう。住民税においては、総合課税より分離課税のほうが税率が半分で済むのは前述のとおりです。

国民健康保険加入者・保育等のサービスを利用されている方は注意

ただし、国民健康保険に加入している方や、保育等の自治体のサービスを利用されている方は注意してください。

住民税を総合課税か分離課税で申告すると、株式の売却益(譲渡益)や配当収入が所得と見做されます。

国民健康保険料は住民税の額と連動しますから、申告した結果国民健康保険料が増額となる場合があります。

同様に保育料は世帯所得によって決まりますから、申告した結果保育料が高くなる場合があります。

住民税の試算サービスを各自治体が提供している

確定申告は確定申告書作成コーナーで何がお得か色々試算できるけれど、住民税には試算できるサイトは無いのでしょうか?

多くの自治体が住民税の試算システムを提供しています。お住まいの自治体のサイトで探してみましょう。

多くの自治体が外部のクラウドサービスを使って試算システムを提供しているようで、多くは数種のタイプのシステムのいずれかで運用されていました。住民税の取り扱いは自治体ごとに少しずつ異なりますが、おおきくは変わりません。お住まいの自治体が試算システムを提供していない場合には、ほかの自治体のシステムを使って試算すると良いでしょう。

いずれの試算システムの場合も、まずは所得税の確定申告書を作成して、株式の売却益(譲渡益)・配当収入・配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除などを算出したあと使用すると分かり易いと思います。

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