我が家では、これまで東京電力エナジーパートナー(TEPCO)が提供するプレミアムプランSを利用してきました。
けれど電力自由化の波は裾野が広がり、いまや多種多様な企業が電力小売事業に参入しています。我が家では、プレミアムプランSの2年契約の契約期間が今年の夏に終わり、期中解約金(5,000円)の縛り無しに他社への切り替えができるようになります。そろそろ切替先を選択しておこうと思い、検討してみました。
電力自由化、その普及度合い
資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者一覧」に拠れば、2019年4月時点で小売電気事業者として登録されている企業は595社あります。
また経済産業省の調査によれば、一般家庭向けのスイッチング件数は2018年9月時点で1,284万件に達し、スイッチング率は20.5%に達しました。
電力のスイッチング率(事業者間・事業者内、低圧)が20%を超えました (METI/経済産業省)
その報告によれば、「スイッチング件数の内訳としては、みなし小売電気事業者から新電力へのスイッチング件数(事業者間)が約795万件(12.7%)、みなし小売電気事業者内のスイッチング件数(事業者内)が約489万件(7.8%)」となっています。ちなみに、みなし小売電気事業者とは、電力自由化前まで電力供給を行っていた電気事業者のことを指します。東京電力や関西電力などがそうですね。
5軒に1軒の割合で電力のスイッチングが進みました。ただし、みなし小売電気事業者を離れて新電力へスイッチングした家庭の割合は12.7%なので、およそ8軒に1軒の割合で新電力へ移行していると云う状況です。
ゆっくりではありますが、着実に普及しています。
新電力の電気料金を比較してみた
さて、選択肢が多いのは良いのですが、いったいどれを選べば良いのか難しいですね。
たまたまチラシで目についた ENEOSでんき と、巷で人気らしい Looopでんき、あしたでんき の3社の電気料金を旧来からの従量電灯B、およびTEPCOのプレミアムプランSと比較してみました。楽天でんきと云う名もチラチラ見かけるのですが、料金体系はほぼ Looopでんき と同じ(+楽天ポイント)であるのと、サイトを見たら「安心の楽天ブランド」と書かれていて、先日の楽天銀行のトラブルの苛々が彷彿として鼻白んだので除外しました。笑
検討対象の新電力3社の概要を整理する
新電力3社の概要を整理しました。
サービス | 小売電気事業者 | 設立 | 資本金 | 主要株主 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|---|
ENEOSでんき | JXTGエネルギー株式会社 | 1888年 | 300億円 | JXTGホールディングス株式会社 | 9,137名 |
Looopでんき | 株式会社Looop | 2011年 | 22.5億円 | - | ?名 |
あしたでんき | TRENDE株式会社 | 2017年 | 4.1億円 | 東京電力ベンチャーズ株式会社、 昭和シェル石油株式会社、 Jumeirah Energy International Capital Holding (Dubai Electricity and Water Authorityの100%子会社) |
10名 |
ENEOSでんき の提供会社は大きいです。ただ従業員数の内何名が小売電気事業に関わってるかは謎ですね。
Looopでんき はその成り立ちやクリーン・エネルギーを中心とした電力供給を目指すスタンスに感銘を受けます。好感が持てる企業ですね。
あしたでんき は東京電力が立ち上げたベンチャー企業で、この中ではいちばんの新興ですね。
新電力3社の料金プラン
東京電力の料金プランと新電力3社の料金プランを整理しました。契約容量は50A、従量料金の単価は東京電力管内をもとに計算しています。いずれのプランにおいても、別途再生エネルギー発電促進賦課金、燃料費調整額が加減算されますが、これはどの小売電気事業者・サービスを選択しても一緒なので省略します。
東京電力 | ENEOSでんき | Looopでんき | あしたでんき | |||
---|---|---|---|---|---|---|
項目 | 従量電灯B | プレミアムプランS | Vプランとく²割 | - | 標準プラン | たっぷりプラン |
基本料金(50A) | 1,404円 | 1,404円 +固定9,700円 |
1,404円 | 0円 | 0円 | 3,000円 |
従量料金 | 120kWhまで19.52円/kWh 300kWhまで26.00円/kWh 以降、30.02円/kWh |
400kWhを超えた分 29.04円/kWh |
120kWhまで19.52円/kWh 300kWhまで24.09円/kWh 以降、25.75円/kWh とく²割で-0.20円/kWh |
26円/kWh | 25.50円/kWh | 21.00円/kWh |
ほか | - | ポイント還元0.5% | ポイント還元0.5% ほかENEOSでの給油に1円/ℓ |
- | - | - |
まず気付くのは、Looopでんき と あしたでんき の料金体系の分かり易さですね。超シンプル。いっぽう、ENEOSでんき はガソリン給油時の還元などいろいろな付帯があるのだけど、正直複雑すぎて最終的にどれほどお得なのかが把握しづらいです。
そして Looopでんき と あしたでんき 標準プランの基本料金0円と云う割り切りの良さは電力消費量が少ない家庭には魅力ですね。いっぽう、あしたでんき たっぷりプランの従量料金21.00円/kWh と云う単価は、電力消費量が多い家庭にはメリットがおおきいはずです。
電力消費量による電気料金の推移
基本的な考え方は、基本料金が安いと電力消費量の少ない家庭にはお得度が高く、従量料金の単価が安いと多い家庭にお得度が高くなります。
とはいえ計算してみないと分かりづらいので、計算してグラフにしてみました。
横軸が電力消費量、縦軸が電気料金です。
電力消費量がおおくなるほど、グラフがばらけて行きますね。電力消費量が多い場合には、あしたでんき たっぷりプランが最強で、400kWhあたりから従量電灯Bより安くなり、700kWhあたりから他のサービスを圧倒して安くなっていきます。
電力消費量が少ないうちはお団子状態に見えますね。それでも、350kWhあたりになると2,000円くらいの差が生まれています。拡大してみましょう。
この範囲でも、新電力3社のサービスが旧来の事業者のものよりも安いことははっきり見えます。いっぽうで新電力3社の料金は、あしたでんき 標準プランが一番安いのですが、拡大してもお団子状態なので、この範囲なら、例えばENEOSのガソリンスタンドを頻繁に使用する方は ENEOSでんき を選択すると云うのもアリかも知れません。
小売電気事業者の選び方
料金プランは分かり易いか
クレジットカードもそう、○○payもそう、もうね、ポイントが付くとか付かないとか還元率がどう変化するとか、もうややこしくて追い切れないんですよね。
シンプルで分かり易い、これがいちばんな気がします。
シンプルで安い小売電気事業者の電気を、シンプルで還元率の高いクレジットカードで払う、これで充分だと思いました。
我が家では、三井住友VISA エブリプラス で水道光熱費を支払っています。
水道光熱費に保険に通信費、まずは家計上の固定費から。銀行口座の引き落としをクレジットカード払いに変えるだけでこんなにお得。
家庭の電力消費量に合わせて選択しよう
電力消費量によってどの小売電気事業者・サービスを選んだ方が得かが変わるので、選択する際には、家庭の電力消費量を抑えておきましょう。できうれば、1年間ぶんの電力消費量を抑えておいたほうが良いです。
ちっとも節電できていなくてお恥ずかしいのですが、我が家の電力消費量を晒しておきます。1~4月は2019年、5月~12月は2018年の消費量から数字を持ってきています。
年月 | 電力消費量 |
---|---|
2019/01 | 1,097kWh |
2019/02 | 1,027kWh |
2019/03 | 741kWh |
2019/04 | 708kWh |
2018/05 | 595kWh |
2018/06 | 623kWh |
2018/07 | 706kWh |
2018/08 | 754kWh |
2018/09 | 773kWh |
2018/10 | 558kWh |
2018/11 | 635kWh |
2018/12 | 1,109kWh |
5月6月の初夏、10月11月の秋を除いて軒並み700kWhを超えていて、12月~2月は1,000kWhオーバーと云う家庭です。電気の節約も努力してみたのだけど、どうにも減りません。この毎月の使用量に小売電気各社のプランを当てはめて各社・各サービスの電気料金をグラフにしてみました。
電力消費量が多い月には、あしたでんき たっぷりプランがやはり最強です。
電力消費量が少ない月には、あしたでんき 標準プラン、Looopでんき に逆転されることもありますが、その差はわずかであることが分かります。
あしたでんき たっぷりプランは、公式サイトでも月に700kWh以上の消費がある家庭向きとされていますが、月で均すと我が家の電力消費量は777kWhと云うおめでたい数字になるので、つまり、我が家には2019年5月現在、あしたでんき たっぷりプランがいちばん向いていると云うことです。
解約金の発生等縛りが無いか?
小売電気事業者は今後もどんどん新規参入してくると思われますし、既存の事業者がサービスを改善してくることも考えられます。
2年契約にすると一時的にキャッシュバックがあるとか、電力の単価が若干安くなるとかもありますが、東京電力のプレミアムプランSを使ってみて思ったのは、期中解約金を気にして切り替え時期を検討するのとか面倒だわ…てことでした。
解約金等の縛りが無い小売電気事業者・プランを選択して、自由になったほうが良さそうです。
我が家の選択は、あしたでんき たっぷりプラン!
ということで、我が家は あしたでんき たっぷりプラン に乗り換えることに決めました!…ちっと慌ててミスったけれど…笑
期間の2ヵ月前(来月下旬)からは期中解約金がかからないのだと知り、1ヵ月じゃ5,000円の元が取れない!と慌てて切替日の指定可否の確認&できないなら申し込みのいったん取り消しを送付した深夜。
— 千鳥足@投資初心者 (@chidoriashi_sh) 2019年5月11日
まとめ:電力会社選びのポイント
小売電気事業者の選択には、以下の点が大事だと思いました。
小売電気事業者の選択で大事と思うこと
- 料金プランはシンプルで分かり易いか。
- 家庭の消費電力量に適しているか。
- 解約金の発生等縛りが無いか。
あしたでんき の公式サイトはこちらです。
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