2017年末と比較すると、日米の各種指標は以下のような動きになっています。
市場 | 指標 | 前年末対比 |
---|---|---|
日本市場 | 日経平均 | -0.31% |
TOPIX | -6.33% | |
JASDAQ | -8.24% | |
マザーズ指数 | -19.81% | |
東証リート指数 | +5.23% | |
米国市場 | NYダウ | +2.51% |
S&P500 | +3.50% | |
NASDAQ | +8.60% |
気付くことは幾つかありますね。
- 2018年の下落の震源地である米国市場は強く、日本市場は弱い。
- マザーズ指数が恐ろしく弱い。
- そしてなぜか東証リート指数が強い。
2018年、JREITが強い?
騰落率で見ると、東証リート指数がNASDAQに次いで2番目の上昇率です。現時点で云えば、事実として2018年は今のところ強いです。
ただ、この事象には、2017年後半のJREITの異常な下げが関わっています。毎月分配型の投資信託に対する警鐘が大きくなり、毎月分配型投資信託の花形であったJREIT関連のファンドからたくさん資金が流出したと言われていました。大変良好な地合いが継続したと言われる2017年、JREITは東証リート指数は1600割れが危ぶまれ、地銀が手持ちのJREITを損切りして嵐が訪れるのではないかと危惧されていました。2018年が強く見えるのは、その反動と言って良いでしょう。
強いJRETI、でも我が家の恩恵はなんだか小さい
2018年にJREITが強い理屈は兎も角として。
ずいぶん強いJREIT、ならば我が家のポートフォリオで小さくない割合を占めるJREITたち、もう少し恩恵をくれても良いじゃんね?そう疑問に思いました。要するに、東証リート指数はここまでで前年比+5.23%と云うけれど、ちっともその恩恵に預かっている感触がありません。
実際に我が家が保有している銘柄群の前年末対比を見てみましょう。
コード | 銘柄 | 前年末対比 |
---|---|---|
3249 | 産業ファンド投資法人 | -5.70% |
3281 | GLP投資法人 | -9.35% |
3481 | 三菱地所物流リート投資法人 | -9.72% |
8961 | 森トラスト総合リート投資法人 | +1.98% |
3287 | 星野リゾート・リート投資法人 | +0.37% |
3308 | 日本ヘルスケア投資法人 | +8.23% |
8960 | ユナイテッド・アーバン投資法人 | +7.46% |
3472 | 大江戸温泉リート投資法人 | -0.69% |
8963 | インヴィンシブル投資法人 | -2.29% |
8964 | フロンティア不動産投資法人 | -0.46% |
銘柄により成績はまちまちではあるものの、なんだか前年末対比で+5.23%だと云う東証リート指数の動きとはかけ離れているように見えますね。
個別銘柄で運用している限りインデックスとの乖離は当たり前
当たり前なのですけど、正直JREITを一括りにして捉えていたフシがあって、十分検討できていなかったのは事実です。もちろん運用資産の分野や、その時点での利回りの高さ、NAV倍率などで銘柄選定をしてはいたのですが、いずれにしたってJREITはどれも同じような値動きをするものなんでしょと高を括っていました。
市場全体の時価総額に対する保有銘柄の割合=影響力を知る
東証リート指数は「東京証券取引所に上場している全てのリートを対象とした時価総額加重平均」ですから、インデックスとの乖離の理由を時価総額と云う観点で確認してみます。
東京証券取引所に上場している全リートの現時点での時価総額は12,728,297百万円です。
これに対し、我が家が保有する10種類の銘柄の現時点での時価は2,061,953百万円でした。
2,061,953百万円 ÷ 12,728,297百万円 = 16.2%
我が家のJREIT10種が東証リート指数と云うインデックスに及ぼす力は、全体の16.2%しかなかったと云うことです。なるほど、我が家のJREIT銘柄の値動きが、インデックスと連動するわけも無い割合の小ささです。
時価総額上位のJREIT銘柄のパフォーマンスを確認してみる
現時点での時価総額上位10銘柄の年初来のパフォーマンスを見てみました。
コード | 銘柄 | 前年末対比 | 時価総額比率 |
---|---|---|---|
8951 | 日本ビルファンド投資法人 | +17.06% | 7.2% |
8952 | ジャパンリアルエステイト投資法人 | +8.22% | 6.3% |
3462 | 野村不動産マスターファンド投資法人 | +7.22% | 5.1% |
8953 | 日本リテールファンド投資法人 | -1.45% | 4.2% |
8960 | ユナイテッド・アーバン投資法人 | +7.46% | 4.2% |
8984 | 大和ハウスリート投資法人 | -4.63% | 3.9% |
3283 | 日本プロロジスリート投資法人 | -6.04% | 3.8% |
8954 | オリックス不動産投資法人 | +11.47$ | 3.8% |
3281 | GLP投資法人 | -9.35% | 3.3% |
3269 | アドバンス・レジデンス投資法人 | +3.78% | 3.0% |
まあ、まちまちではありますが、全体としては前年対比がプラスの銘柄が多いです。時価総額トップの [8951]日本ビルファンド投資法人に至っては物凄いパフォーマンスになっています。そしてこの10銘柄でJREIT市場の44.8%を占めています。東証リート指数に対する影響力は我が家の保有銘柄の3倍近くあるわけです。
値動きがインデックスどおりにはいかない事情はわかった、さてどうしよう。
まあ、インデックスの値動きに合わせることを目的としているわけでは無いのでどうするわけでもないです。インデックスと乖離して当たり前だとしましょう。
当初、「毎月分配型健全高配当ポートフォリオ」構築時、JREITの運用資産の系統として、「住宅」「オフィス」を避け、主に「物流」「ホテル」「ヘルスケア」を選択していました。いまいまの現状を見ますと、「ヘルスケア」は堅調、「ホテル」はまあまあ、「物流」が奮いませんね。
ただ、「物流」「ホテル」「ヘルスケア」という運用資産に着目した点は、社会の動きを見ていて、けして外していないと思うのですよね。
外していないと思ううちは、特に方針を変えずにこのままいきます。
今回の確認で「何をどうするか」と言えば、「インデックスと我が家の資産の値動きが一致するわけもないので、何も気にしない」という心構えが正当なのだとも理解した次第です。
いっぽうで、個別のJREIT銘柄の値動きの相違について、よくよく理解しないで保有&放置してしまっているなあと云う反省もあります。株式の個別銘柄だとそれなりに決算内容などチェックしているのですが、JREITに関しては分配金が幾らかくらいしか気にしていませんでした。個別銘柄の値動きにこれだけ差異が生じると云うことは、各リートが保有している物件の収益性・将来性や各リートおよびそのスポンサー会社の今後の運営方針に差異があると云うことだと(当たり前だけど)理解しましたので、少なくとも決算の説明資料程度は目を通し、JREITへ投資されている方のブログ等で勉強したいと思います。
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