昨年の11月に [8986]日本賃貸住宅投資法人 (以下JRH) と [3308]日本ヘルスケア投資法人 (以下NHI) が2020年4月に合併し、[8986]大和証券リビング投資法人 (以下DLI)となることが発表されました。
その合併比率は「JRH:NHI=1:2.05」。
素朴な疑問で「2.05てどうするつもりなん?(・_・)」と云うのが、この記事の内容です。
さて、どうするつもりなん?と思いながらも放置していたら、はや4月となり合併されていました。
そこからすでに半月が経過。ものぐさな気持ちのまままだ何の点検もせずに居たのですが、なんとなく(!)思い立ったので、何が起きたのかを点検してみました。
株式の分割・併合・そして合併
保有している銘柄に起きる事象として、分割・併合・そして他企業との合併があります。復習を兼ねて点検をしましょう。
株式の分割
相変わらず投資初心者ではありますが、保有銘柄が株式の分割に至った経験はあります。
3,000円の株価だった銘柄を1:2で分割すると、株価は半分の1,500円になると云うのが株式分割ですね。
何のためにそんなことをするのかと言うと、ホルダーは保有数の一部を売り易くなりますし、新規の投資家にとっては買い易くなります。流動性が増すのですね。そして企業は株主を増やすことができます。株主の数は東証1部や2部の上場要件にもなっているのです。
総じて、株式分割は、株主が喜ぶ事案のひとつであります。
株式の併合
株式の併合は分割の逆です。
保有株が併合に至った経験はありませんが、東証2部に落ちた [6502]東芝 が10:1の株式併合を行っていますね。当時320円ほどだった株価は、併合されて10倍となり3,200円前後となりました。この際は単元株式数の変更も同時にされていて、単元株式数の変更と併合の目的を以下のように説明しています。
Q. 単元株式数の変更、株式併合の目的は何ですか。
全国証券取引所は、「売買単位の集約に向けた行動計画」を公表し、平成30年10月1日までに全国証券取引所に上場する国内上場会社の普通株式の売買単位を100株に集約することを目指していました。当社は、東京証券取引所及び名古屋証券取引所に上場する企業として、この趣旨を尊重し、当社株式の売買単位を1,000株から100株に変更することといたしました。あわせて、単元株式数の変更後も、当社株式の売買単位あたりの価格について全国証券取引所が望ましいとしている水準(5万円以上50万円未満)を維持することを目的として、当社株式について10株を1株に併合することといたしました。
企業の合併
さて、今回は合併です。初体験なのであります。
今回は、JRH:NHI が 1:2.05 の比率で合併し、JRHが存続投資法人となり名称をDLI とすると云う事案でした。
JRH は1口がそのままに DLI 1口となり、NHIはNHI1口につきDLI2.05口を割り当てると云うことです。
わたくし千鳥足は、NHI を3口保有していました。なので2.05口×3で6.15口が割り当てられると云うことですね。
で、再確認ですが、そのとき、6.15口てなんだよおおおw?!と云う点が、この記事の本旨です。
また、分割・併合と違って、2銘柄の株価は個別に変動しているのにも関わらず、合併比率が固定されているのだとすると、果たしてそれは時価的な面でお得だったのかどうか?と云う検証が必要だと思いました。
上場企業の合併の実際
今回、保有株である NHI で起きた合併を実例として、上場企業の合併が株主の資産に直接的に与える影響を整理しておきます。わざわざ「直接的」としたのは、企業の合併による相乗効果とか成長力の向上と云った影響は千差万別で整理できるわけが無いので、そういうことを整理するわけでは無いと云う、念のための宣言です。
JRH:NHI=1:2.05 の合併による端株の処理
NHI1口につきDLI2.05口を割り当てると云うことは、NHIを3口保有していた僕には、DLIが6.15口が割り当てられることになります。果たしてこの0.15口はどうなるのでしょうか?
実際に割り当てられた DLI の口数
まず、4月1日時点で実際に割り当てられたDLIの口数は、6口でした。
下の画像は今日時点の口座残高になりますが、[8986]大和証券リビング投資法人 の保有数が「6」となっていますね。
では、端数の「0.15口」はどうなってしまったのでしょうか??
端数 0.15口 の行方
端数の取り扱いについては、きちんとIRで案内が出ていました。
この案内に拠ると、以下のような扱いになります。
…(前略)…本投資法人の投資口の割り当てが行われましたが、一部の割当対象投資主の皆様におかれましては、交付すべき投資口の口数に 1 口未満の端数(以下「端数投資口」といいます。)が生じております。
かかる端数投資口については、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和 26 年法律第 198 号。その後の改正を含みます。)の規定に基づき、市場において行う取引により売却し、当該売却代金を、端数が生じた割当対象投資主の皆様に対して、その端数に応じて交付する予定です。
該当する割当対象投資主の皆様に対しては、別途郵送にて交付額、交付方法等についてお知らせし、2020 年 6 月 19 日を目途にそのお支払いを開始する予定です。
つまり端数分は売却してしまい、売却代金をきちんと株主に交付するとのこと。
絵でも説明してあって分かり易かったです。
端数投資口の売却代金の支払時期と額
前述のIRでは、今後のスケジュールとして以下のように記載されています。
3. 今後のスケジュール(予定)
2020 年 5 月 12 日 割当投資口数通知の発送
2020 年 6 月 19 日 端数投資口売却代金及び合併交付金の支払開始
ふむふむなるほど、5月12日に通知の発想があり、6月19日より支払開始となるとのこと。
端数投資口の売却が幾らで成立したのか、6月19日より始まる支払いは具体的にどのような手続きになるのかはまだ判りませんが、いずれ判ることでしょう。
合併する企業の決算月が違う場合、最終営業期間の利益の分配はどうなる?(合併交付金)
上に引用した「今後のスケジュール(予定)」で「2020 年 6 月 19 日 端数投資口売却代金及び合併交付金の支払開始」とあります。この「合併交付金」とは何でしょうか?
合併交付金(がっぺいこうふきん)
合併交付金とは、合併に際して被取得企業(消滅会社)の株主に対し交付される金銭のことをいいます。合併交付金は、主に合併比率の端数調整や合併当事会社の決算期が異なる際の利益配当の調整として支払われます。
NHIの決算月は4月・10月でした。いっぽうJRHおよびDLIの決算月は3月・9月です。
僕が保有していたNHIは4月1日よりDLIに替わっているので、3月末まではNHIのホルダーであり、JRHの2020年3月期の分配金は頂けません。次回DLIの2020年9月決算まで待つ必要があります。
でもそうすると、本来2020年4月期として頂けるはずであった2019年10月以降のNHIの活動で出た利益の分配は頂けないのでしょうか?
否、これがまさに上記の「合併交付金」として頂けると云うことですね。なるほどなるほど。
1口が2口になった時価総額的な損得
さて、分割・併合と違って、NHIとJRHの2銘柄の株価は3月末まで個別に変動しているのにも関わらず、その合併比率が固定されていました。
時価的な面で見たとき、これはお得な出来事だったのか否かを確認します。
上場廃止となる直前の NHI の投資口価格は以下のとおりでした。
- 2020年3月27日終値:176,200円/口
いっぽう、JRHおよび合併後のDLIの投資口価格の推移は以下のとおりです。
- 2020年3月27日終値:81,000円/口
- 2020年3月30日終値:87,500円/口
- 2020年3月31日終値:91,100円/口
- 2020年4月10日終値:89,300円/口
単純に3月27日の終値で比較すると、81,000円:176,200円=1:2.17 なので、1:2.05の合併はちょっと損。1:2.05であれば、NHI176,200円に対し85,951円あたりの値になるので、まあ3月30日以降の価格推移であれば、まあ満足…?と云うところでしょうか。
3月半ばころからJREITの投資口価格はボラティリティが大きくて、JRH の投資口価格は権利確定日(3月27日)よりも権利落ち日(3月30日)のほうが6,500円も高くなっているなど、ちょっと異様な価格推移なので、計算式できれいに割り切れるものでは無さそうですね。
[8986]大和証券リビング投資法人 は保有を継続するのか
毎月配当エリアのポートフォリオにJREITを組み込む際、個人的には住宅・オフィスの銘柄を避け、物流・ホテル・ヘルスケアの銘柄を選びました。
合併してできた [8986]大和証券リビング投資法人 (DLI) の保有物件のポートフォリオは、およそ7割が住宅、3割がヘルスケアであり、ヘルスケアも相当量含まれているものの、大半が住宅系の物件になります。
良し悪しは別として、当初選別して片や組み込み片や外した種別が混ざり合った銘柄になったのですね。これはめちゃ悩ましい…。
悩ましい…悩ましい…悩ましい…けど、新コロの嵐が吹き荒れたばかりの今、JREIT銘柄をこの時点で手放すべきじゃないよなあ…と僕の相場観が言っているので、しばしの期間は保有、新コロの嵐が過ぎ去り経済の先行きに光が見えてきた当たりでまた売却か保有かを判断しようと思います。
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