先日、先輩の送別会がありました。わたくし千鳥足は幹事を担当して、お店の手配や花束の準備などを行いました。
50代半ばの先輩は頸椎を痛めていて、長らく休職していましたが3月末に依願退職されました。通勤が苦にならない地元に、週3日勤務のゆるやかな働き口を見つけたとのこと、詳しくは聞けていませんが、退職金には手を付けずに夫婦でゆるやかに仕事をしながら、年金が入るまでの期間を過ごすお積りのようでした。
宴会の狭間で、退職金の運用や確定拠出年金のことで少し相談を受けました。投資初心者のわたくし千鳥足ではありますが、社員から役員になった際に、同じ不安を経験していたので、経験の範囲で回答いたしました。
退職金の運用の仕方、あるいは確定拠出年金に関する手続きとして、わたくし千鳥足からお伝えしたのは以下4点でした。
- 銀行のアドバイスは無視する
- 確定拠出年金は安易に東京海上日動のiDeCoを選ばない
- 少しは金融商品の勉強をする
- 世界分散と時間分散
銀行のアドバイスは無視する
わたくし千鳥足は、退職金の一部を元手に、住宅ローンの繰上返済と借り換えをしようとしていました。
完済するメガバンクA銀行、新たに借りるB銀行、ともに退職金と聞くや資産運用のお誘いを受けました。
金融商品を売りつけてくるのが露骨なA銀行
完済の手続きに訪れたその日に、時間はあるかと訊ねられ、YESと答えると奥の一画に連れて行かれて、金融商品の紹介を受けました。
わたくし千鳥足の金融リテラシは、今がノミ程度だとすれば、この頃はまだミジンコ程度。はっきり言いましょう、もう少しで騙されるところでしたw
薦められたのは米国REITの毎月分配型の投資信託だったと記憶しています。
千鳥足「え?おかね預けておくだけで8%も利子が付くんですか?」
銀行員「はい、そうです、毎月分配金が入ります。」
千鳥足「毎月?毎月おかねが入るんですか。」
銀行員「はい、1000万としますと、毎月6~7万円ですね。3000万なら18~21万円。」
千鳥足「え?どうしてそんなことが…?」
銀行員「もちろんリスクはあります。でもこの商品は(うにゃうにゃうにゃうにゃ)」
千鳥足「え、そしたらこれ絶対得じゃないですか。」
銀行員「いま退職金で投資信託を購入いただくと、同額ぶんの定期預金を優遇金利6%で組むこともできます。」
(うおお!!!買う。俺これ買っちゃうかも知れない。)
帰宅してネットで調べたら、今も愛読している幾多の投資ブログに辿り着き、そうして得た知識によると、薦められた商品は見事な高手数料・クソタコ足配当の投資信託でした。そして優遇金利の定期預金は、優遇金利の適用期間は3ヵ月間だけでした。
何の知識も無いままホイホイ話を聞いた僕も良くないですが、明らかに知識が不足しているだろう相手にリスクや分配金の仕組みの説明もないまま、キャンペーンだ優遇金利だと見せかけのおまけまで付けて金融商品を売りつけようとするのは「騙す」と言っても言い過ぎではないと思います。
比較的紳士的だったB銀行
いっぽう、B銀行は比較的紳士的でした。資産運用についてのお話があり、パンフを渡されました。
そしてパンフの内容を読んで連絡をしたのは僕からでした。
担当の方からきちんとリスクの説明があり、様々な商品の説明を受けました。「どのような商品への投資をお考えですか」と問われて、モゴモゴ答えられない僕であることを知ると、「もう少し方針を定めてからのほうが良いかも知れませんね。」と云うニュアンスで出直して来いと言われたように記憶しています。
これはとても良心的な対応だと思います。
確定拠出年金は安易に東京海上日動のiDeCoを選ばない
固有名詞を出すのは如何なものかとは思いますが笑、企業型確定拠出年金の大御所でもありますし、まあ良いでしょう。
勤めていた企業に確定拠出年金の仕組みがある場合、退職時にはこれを個人型に移換する必要があります。あるいは、転職先でも確定拠出年金の仕組みがある場合には、転職先の企業が委託している運営機関の企業型確定拠出年金に移換することになります。
勤めていた企業の企業型確定拠出年金が(例として)東京海上日動で運営されていたからと云って、個人型に移換する際、安易に(例として)東京海上日動を選択するのは良くありません。例として挙げた東京海上日動がどうのこうのと云うよりも、「そのまま同じ運営機関を選択しなくても良い」と云う「自由」と「責任」を知っておくべきです。
運営機関によって取り扱っている金融商品が異なります。また手数料の多寡もおおいに異なります。
僕は総務課の担当から企業型を個人型に移換する必要があることを告げられ、参考にと東京海上日動のパンフを手渡されました。何も考えずにそれが自然な流れなのだと迷うこともなくそのまま東京海上日動の個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換しました。後々、SBI証券や楽天証券などのiDeCoのほうがよほど良い条件なのだと知り、悩んだ末にたくさんの時間をかけて、東京海上日動のiDeCoから、SBI証券のiDeCoに再度移換をすることになりました。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の移換にはこれだけ期間がかかる。移換の流れと注意事項。
少しは金融商品の勉強をする
退職金を金融商品に注ぎ込む前に、まずは少しお勉強をしましょう。
本を何冊も読んで勉強する必要はありません。簡単そうな本を1冊読むか、あるいはネットで情報を探すかすれば、おおよその知識は付きます。
どのような金融商品があり、どのような投資対象があるのかを知っておきましょう。
世界分散と時間分散
投資の基本は世界分散
資産運用の知識と云ったら、勤め先の担当から企業型確定拠出年金の説明を受けただけ、と云う方は、リスクの高低は「債券<株式」「日本<先進国<新興国」のような超ざっくりとした説明を認識を植え付けられていませんか。
リスクが低いものがいちばん損をしない訳ではありませんし、儲かる訳でもありません。そして多くの場合、期待リターンが高いほどリスクも高まります。
いちばんリスクが低い組み合わせだからと日本の債券に投資していたら、銀行に預金しているのと大して変わりがありません。日本株式よりも海外株式のほうがリスクが高いから日本株式だけに投資しよう、それはおおきな間違いです。
日々発展を遂げている世界の経済に投資することが大事です。世界経済の中に占める日本経済の割合は、10%にも届きません。
退職金を一度に注ぎ込まず時間分散をかける
退職金は初めて手にするような大金です。ただ銀行口座に置いておくのは勿体なくて、一度に金融商品の購入をしてしまいたくなるかも知れません。
グッと我慢して、まずは退職金を徐々に金融商品に換えていく計画を立てましょう。
短くても1年間、長くて5年間、おおよそ2年から3年程度の時間をかけて、少しずつ金融商品に換えていきましょう。
一度に全部金融商品に注ぎ込んだその翌日に世界株式の大暴落があるかも知れません。
これは個人型確定拠出年金に移換した資金も同じことです。移換時には元本保証の金融商品100%で移換して、その後時間を分散してほかの金融商品に換えていくのがセオリーです。
退職後の先輩・皆さんに幸あれ
先輩は脊椎を痛めて辞めるのですが、これからの環境は週3日勤務です。あれ?これよくネットに居るセミリタイアの人ってことかな?そう気付いたら、なんだか辞める先輩が羨ましくなってきました。もちろん平坦な道のりばかりではないでしょうが、きっと楽しく乗り切ることでしょう。
さてそれでは、定年を迎えて新しい人生を歩む方、転職されて新しい場所で働き出す方々、みなさんの人生と資産運用に幸あれ…!
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