2016年6月に従業員から役員となることが決まりました。従業員としては退職し、役員になります。
退職処理にともなって、確定拠出年金は企業型から個人型に移換しました。
当時、わたくし千鳥足は資産運用をはじめて間もなく、今でも決して高いとは言えない金融リテラシーが、今にも増して低い、飛び切り低い人種でありました。僕はその頃、確定拠出年金と云う制度について歯ぎしりしながら怒っていました。
ちなみに、いまとなっては、この制度について一部改善を求めたい気持ちはあるものの、十分納得して、むしろ積極的に利用しています。新たに社会人となり、確定拠出年金の説明を受けたみなさんも、「初めてのこと」「わからないこと」を不安/不満に思わず、積極的に活用することをお勧めしています。
僕が確定拠出年金と云う制度に腹を立てていた理由
当時、僕は何故確定拠出年金などと云う制度を利用しなければいけないのかと怒っていました。
「確定拠出年金なんかに拠出できるか!」と唾を吐いて、最初、毎月の掛け金を拠出せず運用のみ行う「運用指図者」となりました。
腹を立てていた理由は主に以下の3つでした。
- 社員から役員となり、ほんらい手元に届くべき退職金の一部が、確定拠出年金と云う制度によって60歳まで引き出すことができない。
- 確定拠出年金と云う制度にただ預けておくだけで、毎月手数料を取られる。
- スイッチングに時間がかかる。移換処理にはもっと時間がかかる。
僕のおかねなのに、60歳まで引き出すことができない!
これは今でも使い勝手の悪い制度だなと思います。
当初、個人型になど移換せず、できることなら解約して手元にお金を呼び戻す手は無いかと調べたのだけどダメでした。
僕のおかねなのに、60歳になるまで手を付けることができません。60歳になる前に重篤な病に罹り、治療費が要る場合や、最期に向けてやり残したことをやり切りたいと云った場面に遭遇したらどうすれば良いのでしょう。悔やんでも悔やみきれません。
確定拠出年金と云う制度におかねを預けているだけで手数料を取られる!
僕は当初、毎月新たな積み立て額を拠出するのがバカバカしくて、新たな積み立てはせず預替(スイッチング)などの運用のみ行える「運用指図者」となりました。そして金融商品も良くわからないまま、元本保証の商品を40%も選択していました。調べればすぐに分かる話なのですが、「運用指図者」とはいえ管理機関におかねを預けているので、管理手数料がかかります。預けていたくもないのに解約することもできず、毎月手数料が取られるなんて、なんて酷い制度だ!これほんとうに必要な制度なのか!…そう思っていました。
ちなみに、当時は東京海上日動を管理機関に選んでいました。その理由は以下2点です。
- 企業型の確定拠出年金が東京海上日動で運営されていた。
- 個人型に移換するにあたって、会社の総務部門から東京海上日動のパンフを渡された。
他の機関を選べるんだと知ったのはもう少し後のことでした。…笑
さて、東京海上日動の「運用指図者」の場合の手数料は、当時(今は幾らだか知りません)毎月366円でした。
60歳まであと16年×12ヵ月×366円=70,272円
なんと!なにも利益を生まなければ、約7万が手数料に取られて消失してしまうのです。僕は歯ぎしりして怒りました。
これはいったい誰のための制度なのか。運用会社のための制度なんじゃないか?!これだけの手数料を払って、確定拠出年金の運用会社が何かしてくれるのならまだ分かけれども、何かしてくれるわけではない。品ぞろえの中から運用指図者が自己責任で運用商品を選び、運用商品の信託報酬はそれはそれで取られる。元本割れしようがゼロになろうが確定拠出年金の運用会社は知ったこっちゃない。とってつけたような運用サポートのWEBサイトを提供している程度です。ぷんすか。
当時の記事の原文のママです。笑
手数料に負けてはいけない!そう思って運用を始めたらめっちゃ遅い
手数料だけでめっちゃ目減りするのだと知って、僕は湧きおこる怒りに打ち震えつつ思ったのでした。「個人型に移換されたこのおかね、こいつを減らすわけにはいかない。減らしたらこの妙な制度に負けた気がする。せめて手数料に負けない程度には増やさねばならぬ…!」。
ならぬ!のに、僕は移換時にろくに考えもせず、移換後の運用商品の組み合わせに、『ねんきん博士』という元本保証型のやつを40%も指定していました。笑
元本保証はいいけどその年率はものの見事に0.01%。普通預金ですよこれ。そして移換した拠出金103万の40%は41万2千円。その年利0.01%と云ったら41.2円、月利で云ったら3.4円です。毎月の手数料にもぜんぜん足りてないじゃないか…!!なんでこんな、普通預金と同じことするのに手数料取られなきゃならない。バカかこの制度。そしてバカか俺!
無リスク資産を選んでいるようでは手数料負けするのだと気づいて、早速運用商品の預替(スイッチング)を行いました。
預替(スイッチング)が終わるまでにだいぶ期間がかかりました。そして預替(スイッチング)を終えて早々に株価が落ち始め、僕はまた怒っていました。スイッチングのタイミングもそうですが、個人型への移換が完了した日もまた日経平均がたまたま高値を付けていたときで、僕はしばらくのあいだ評価損を抱えることとなり、プリプリしていたのです。
今現在の僕が、進んでiDeCoに積み立てをしている理由
その後、投資や資産運用に触れて、金融リテラシーもそこそこ付き始め、僕はようやく確定拠出年金の有り難さを知ることになりました。
確定拠出年金は節税効果が最大のメリット
何よりも、掛け金のぶんは所得控除され、節税効果が非常に高いのです。その節税効果さえあれば、手数料が取られたところで余裕で得できる制度だったのです。もちろん、節税効果を得るためには、もともと税金を払っている立場である必要はありますが。
節税の恩恵を得るためには掛け金を拠出しなければいけないので、僕は「運用指図者」をやめて「加入者」となりました。その際により手数料が安い運営機関を望んで、東京海上日動を去り、SBI証券に移換しています。そして今も毎月、制度の上限一杯の掛け金を拠出しています。
当初抱いていた不満に自分で答えてみる
当初抱いていた制度に対する不満について自分で答えるなら以下のとおりです。
- 社員から役員となり、ほんらい手元に届くべき退職金の一部が、確定拠出年金と云う制度によって60歳まで引き出すことができない。
⇒ 今すぐ使いたいほど困ってはいない。むしろ投資して複利を得よう。60歳まで生きれば引き出せるのだから、60歳まで健康体でいなくてはいけない! - 確定拠出年金と云う制度にただ預けておくだけで、毎月手数料を取られる。
⇒ 掛け金を拠出していれば、毎月の手数料を取られても税金的にはお得。そして手数料負けしないほどに利益を出せば良い! - スイッチングに時間がかかる。移換処理にはもっと時間がかかる。
⇒ これはどうにかして欲しい。移換処理は物凄い日数がかかるし、スイッチングに時間がかかるのも使いづらい。改善して欲しい。
確定拠出年金に不満があるあなたも、前向きに捉えたほうが良い
この記事には、確定拠出年金に対して不満があるらしい方々が、それらしいキーワードで一定数辿り着いているようです。
確定拠出年金制度があった企業に勤めていて、退社したあと、その扱いに困っている方は多いようです。
積み立てが短期間であった等、幾つかの要件を満たさない限り、確定拠出年金は解約できず制度を利用せざるを得ません。ですから、前向きに考えましょう。
- 所得税・住民税を払っている所得のある方なら、「運用指図者」でなく「加入者」になって拠出すべき。
- 移換には時間がかかるので、移換直後の金融商品は、元本保証の商品を100%選択したほうが良い。
- 移換完了後、リスク資産にスイッチングしてゆく。この際一度にドカッとせず、毎月少しずつスイッチする。(ドルコスト平均法)
- 特に拠出しない「運用指図者」は、元本保証で運用していたら手数料取られて目減りするだけ。増やさなくてはいけない。
どうか、確定拠出年金を楽しみましょう!
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