2020年2月~3月のコロナショックから5ヵ月が過ぎようとしています。
この間の各国の金融緩和策が奏功して、NYダウや日経平均は暴落前の水準まで回復し、S&P500やNASDAQに至っては史上最高値を更新しています。
ところが、REITに関しては、暴落からの戻しが非常に遅い状況です。
我が家の旅行資金を捻出するための「毎月配当」エリアのポートフォリオは、いくばくかのJREIT銘柄も含んでおり、「毎月配当」エリアの評価額がなかなか戻らないのも、配当金・分配金利回りが上がらないのも、どうもJREIT銘柄たちのせいっぽいです。(いや、もちろんそれだけではないのですが。)
そこでJREIT全般の値動きと、手持ちのJREIT銘柄の値動きを確認してみましたよ。
東証リート指数の足を引っ張っているのは…?
JREIT62銘柄をその「運用資産」の種別に分類して、昨年末株価に対する騰落率をグラフにしました。
物流施設主体の銘柄群はすでに暴落ぶんを全戻しして、昨年末比で+20%まで伸びています。住居主体の銘柄群もすでに-10%未満まで戻しています。
足を引っ張っているのは、商業施設主体型、事務所主体型 の銘柄群、そしてまさしくこれが元凶の親分、ホテル主体型 の銘柄群ですね。おまえか!(知ってた)
ホテル主体型は中国での感染が報じられた1月の下旬あたりには早や下落を始めています。僕がイチ早くコロナショックに感応し、結果先走りすぎたことすらも、こいつらのせいかも知れません。
検証コロナショック!コロナショックにおける取引きの振り返り。早漏投資家はいかに買い向かったか。
そして2月・3月になるとさらに加速して滑り落ち、3月19日には昨年末比-61.5%という値動きです。保有者みんながドーパミン出まくる、凄まじい暴落ぶりでした。緊急事態宣言明けが視野に入ると、政府のGoToキャンペーンなどもあり、勢いよく戻してゆくかに見えましたが、その後の感染拡大やGoToキャンペーンのもたつきもあって、未だ-40%超という低さに低迷しています。
物流が伸び・住居は安定・商業施設とオフィスが閑散としてホテルはガラガラ。コロナ禍中の世相そのものが反映されていますね。
MYポートフォリオにおけるホテル系リート
「毎月配当」エリアのポートフォリオを作るとき、JREITはホテル系・物流系をメインで入れていました。そして物流系の銘柄は、2019年のJREIT高・株安の時期に売って、高配当株に換えています。つまり、保有しているJREITにはホテル系のものが多い のです。
保有しているJREIT 5銘柄の内、3銘柄がホテル系です。評価額でも保有JREIT総額の約60%がホテル系です。ウェイウェーイ。
- [3287]星野リゾート・リート投資法人
- [3472]大江戸温泉リート投資法人
- [8963]インヴィンシブル投資法人
特に3つ目の [8963]インポテン…シブル投資法人 ときたら…!!
ホテル系リートの年初来騰落率
同じホテル系リートでも、株価の騰落は、銘柄ごとにおおきく差がついています。
東証に上場しているホテル系リート6銘柄について、昨年末株価に対する騰落率をグラフにしました。
日々の値動きの感触は知っていましたが、こうして年始からの騰落率の比較をしてみると、同じホテル系リートでもこれだけ差が付くのか…!と改めて驚きます。
我が家のポートフォリオには、最弱の [8963]インポテン…シブル投資法人 が居ますが、幸い騰落率ダントツの [3287]星野リゾート・リート投資法人、2位の [3472]大江戸温泉リート投資法人 が居たおかげで、まだ救われている感があります。
ホテル系リートの減配率
ホテル系リートの株価推移と相関が強そうなのが、分配金の減配率です。
ホテル系リート6銘柄は、今期配当予想を「未定」としている [8985]ジャパン・ホテル・リート投資法人 以外、いずれも減配しているか、減配を予想しています。
減配率のおおきな銘柄ほど株価は冴えません。
コード | 銘柄 | コロナ前 配当実績 |
コロナ後配当 実績or予想 |
減配率 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
3287 | 星野リゾート・リート投資法人 | 2020/04期 | 13,302 | 2020/10期(予) | 12,753 | -4.1% |
3463 | いちごホテルリート投資法人 | 2020/01期 | 8,356 | 2020/07期(予) | 873 | -89.6% |
3472 | 大江戸温泉リート投資法人 | 2019/11期 | 2,415 | 2020/05期 | 2,328 | -3.6% |
3478 | 森トラスト・ホテルリート投資法人 | 2020/02期 | 3,563 | 2020/08期(予) | 1,727 | -51.5% |
8963 | インヴィンシブル投資法人 | 2019/12期 | 1,725 | 2020/06期(予) | 30 | -98.3% |
8985 | ジャパン・ホテル・リート投資法人 | 2019/12期 | 3,686 | 2020/12期(予) | 未定 | - |
2020年4月期まではコロナ前の分配実績、以降の決算期の分配実績or予想についてはとコロナ後としました。
MYポートフォリオのホテル系リートの減配模様
こうしてまとめてみると、決算期がコロナ拡大時期にどう重なるかによっても、業績および分配金への影響がおおきく異なるのだということに気付かされます。
我が家のポートフォリオのホテル系リート3銘柄について詳しく確認していきます。
[3287]星野リゾート・リート投資法人の減配タイムラグ
2020年4月期を境としたコロナ直前・コロナ直後では、[3287]星野リゾート・リート投資法人 の減配幅は、数%とわずかです。株価の推移もこれを反映して比較的強い戻しを見せています。
ただし本投資法人は、このあと一歩遅れて大減配がある見通しなのを忘れてはいけません。
[3287]星野リゾート・リート投資法人の分配金情報
2020年10月期はわずかな減配で済みますが、2021年4月期は-60%ほどの減配の予想をしています。どうしてこういうタイムラグをもって減配が予想されているかと言うと、同投資法人とテナントとの間の賃料が、過去一定期間の収益によって決まるからです。
変動賃料にコロナ禍の悪影響がおおきく反映されるのが、2021年4月期の業績に当たるわけです。
もっとも、2021年4月期の大減配はすでに予想として発表されているものなので、株価には織り込み済みかも知れません。多分に堅い業績予想をしているように思いますし、スポンサーであり大口のテナントでもある星野リゾートは、8月の集客はほぼ昨年並みに戻ってきていると言っています。
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減配予想が上方修正されることがあれば逆にサプライズで株価に好影響がありそうです。あるといいなあ。
[3472]大江戸温泉リート投資法人の分配金の安定感
次に [3472]大江戸温泉リート投資法人 の様子を見てみましょう。
2020年5月期はわずかな減配で済みましたが、2020年11月期・2021年5月期はもうちょっとずつ減配します。
[3472]大江戸温泉リート投資法人の分配金情報
[3287]星野リゾート・リート投資法人 と同様に、変動賃料がタイムラグをもって決まる仕組みになっているためです。
それにしても減配とはいえ分配金の予想額はずいぶん安定していますよね。5月・6月の稼働率の激減に対してこの安定感は違和感があります。
この安定感は何か。
それは、賃料の9割が固定賃料であること、スポンサーでありテナントである大江戸温泉物語グループとの連携が強いことから生まれています。
賃料の9割が固定なので、ホテルの稼働率低下が直減配に結び付かない仕組みになっているということですね。
ちなみに [3287]星野リゾート・リート投資法人のほうは、賃料の7割程度が固定、残り3割程度が変動賃料になっています。
[8963]インヴィンシブル投資法人の超絶減配
早々に分配金の下方修正を発表して、しかもその減配率が-98.3%という驚愕の発表をして投げ捨てられた [8963]インヴィンシブル投資法人は、同時に株主の信頼も失って、株価がまったく冴えない値動きをしています。
次の画像の「ポートフォリオ収益構成」は、2019年12月期時点での構成比率です。
2020年6月期は、新コロの蔓延によりケイマンは空路も閉ざされ稼働率0%が続き、シェラトンの受取分配金も期待できずという状態です。
そして何よりも、主要テナントである株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメント(MHM)から、賃料の支払免除並びに経費負担の変更その他の条件変更を強く要請されたことを受けて、止むを得ずこれを了承したことが直接的な原因です。MHMを破綻させてしまっては元も子もない事態となりますから、これを回避するための措置としては仕方ありません。
テナントに対してはとても漢気あふれる対処ではあるのですが、株主視点では利益剰余金からの補填も無いわけで、
「なんだよこのふにゃ○ん野郎!」
…そう怒りたくもなりますね。
でも、腹立たしいときこそ、人を思いやる優しい気持ちが大切です。
コロナ禍の影響や先行きがまださっぱり見えない5月上旬の決断ですから、慎重になるのも分かります。あの時点で利益剰余金の取り崩しを決めるのは中々危険ですし勇気が要りますよね。[8963]インヴィンシブル投資法人 の中の人、ちょっとビビっちゃったよね。分かります。分かります。分かります…。
さて、同投資法人は、2020年6月期の決算を次週8月25日に発表する予定です。
withコロナの生活様式と社会への影響度合いが以前よりは見通せるようになった今、現状は「未定」のままの12月期の配当予想をどのように出してくるかに注目です。
[3287]星野リゾート・リート投資法人 や [3472]大江戸温泉リート投資法人 と違って、ポートフォリオにビジネス・ユースのホテルも多いので、需要の回復が遅そうなのが不安な点です。幾らかでも良い、好感できるだけの分配金が見通せていると良いのですが…。
2020年6月期の30円から大幅に増配して60円です…!!とかやりやがったら、株主みんなでズッコケましょうね。
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