[7713]シグマ光機が2019年5月期の2Q決算を発表、増収・増益も事前の業績予想には届かず。盤石な財務に不安なし。

[7713]シグマ光機が2019年5月期の2Q決算を発表、増収・増益も事前の業績予想には届かず。盤石な財務に不安なし。

は、1月11日の引け後に2019年5月期の2Q決算を発表しました。

毎年クリスマス前後に知らされる業績の上方修正は、今期は発表されず、少し気にしておりました。なにぶん世界経済には悪い兆候があちこち表れていましたから、何かネガティブ・サプライズがあるのではないかと気に病んでいましたが、決算からは外部環境に負けない堅調な業績推移が確認できました。

 
 

[7713]シグマ光機の決算短信を読む

業績は前年同期対比で増収・増益

前年同期に対して、売上が+6.2%の増収、経常利益で+4.9%の増益となりました。

売上 営業利益 経常利益 純利益
今期2Q実績 4,608 +6.2% 710 +2.2% 797 +4.9% 531 +3.9%
前期2Q実績 4,337 695 760 511

※ 金額は百万円単位、%は前年同期対比の増減率

増収・増益幅は穏やかですが、過去最高の売上高であった前年上半期をさらに上回る増収であり、要するに過去最高の業績です。

1Qの決算が素晴らしい数字だったので、その延長を期待していた株主にとっては少し物足りない感もあるでしょうけれども、ここ最近の強烈な売り浴びせは、米中貿易摩擦等に端を発した世界経済の混乱に同社の業績の縮小すら織り込もうとしていた節がありますから、安定決算を好感して騰がってくれることを期待します。もちろん、明日の株価がどちらに転ぶか、全体の地合いも含めて誰にも分らないところではありますが。

増収・増益だが事前の業績予想には達していない

前年同期比で増収・増益ではありますが、事前の業績予想には営業利益・経常利益が届いていません。

売上 営業利益 経常利益 純利益
今期2Q実績 4,608 +0.6% 710 -9.6% 797 -3.4% 531 +0.2%
今期2Q予想
(1Q決算時点)
4,580 785 825 530

※ 金額は百万円単位、%は今期2Q予想に対する増減率

通期業績予想に対する進捗率も、売上高が49.2%と前期を上回る進捗であるのに対し、営業利益は43.8%、経常利益は47.0%と前期をやや下回る水準です。

2Qの間に想定していなかった”何か”があったことは事実なのでしょう。ただ、決算短信ではそれが何なのか、明確な説明はありません。

第2四半期単体で見ると売上は好調だが利益率はやや低く

前期の1Qから今期の2Qまで、四半期毎の売上・利益を追ってみます。

売上がすこぶる順調であるのに対して、利益の伸びがいまいち。と云うか、今期2Q単体は、前年の2Q単体に対して増収ですが減益です。

売上 営業利益 経常利益 純利益
2018年5月期1Q 2,056 307 14.9% 339 16.5% 228 11.1%
2018年5月期2Q 2,281 388 17.0% 421 18.5% 283 12.4%
2018年5月期3Q 2,371 440 18.6% 456 19.2% 303 12.8%
2018年5月期4Q 2,248 298 13.3% 302 13.4% 191 8.5%
2019年5月期1Q 2,249 352 15.7% 401 17.8% 264 11.7%
2019年5月期2Q 2,359 358 15.2% 396 16.8% 267 11.3%

※ 金額は百万円単位、%は対売上高の利益率

同社をめぐる需要の推移について、決算短信は次のように語っています。

  • 大学・国立研究開発法人向け研究開発分野では、研究開発予算の執行に慎重な姿勢が見られ、需要はやや軟調
  • 国内・アジア地域を中心としたFPD業界向けや電子部品・半導体業界向けには、設備投資の拡大ペースはやや減速したものの引き続き緩やかな回復基調
  • レーザ加工機・検査装置への組込み用の加工用レンズユニットや観察光学系等の光学ユニット製品の需要は横ばい
  • レンズやミラー等の光学素子・薄膜製品や、自動位置決め装置などの自動応用製品の需要が堅調
  • 米国地域では、バイオ業界・医療業界向けや電子部品・半導体業界向けの組込み用光学要素部品の需要は低調
  • 欧州地域においては、大学・官公庁向け研究開発分野及び産業分野向けの光学要素部品の需要は堅調

軟調・横ばい・低調と云った言葉が並ぶので少し不安にはなりますね。とはいえ、利益率推移をグラフで見てわかるとおり、気に病むほどの水準ではありません。

四半期当たりの売上高は、例年3Qがもっとも強い同社なので、次回の3Q決算の発表を楽しみに待ちたいと思います。

丁寧・真面目なIRの同社。同社が語らないなら気にせずにおこう。

1Qのスタートダッシュに対して2Qの伸びが鈍化したことについて、決算短信では明確な説明はないのですが、2018年の9~11月と云えば世界経済レベルでさまざまなことがありましたから、まあ色々あったんだろうなと超アバウトに想像することはできます。

投資を始めてからお付き合いのある銘柄です。付き合いも長いので、IRの気心は知れています。この企業のIRは丁寧・真面目です。

比較的保守的な業績予想を立てて、変動がある場合にはきちんとその報告を提示する、そういう企業です。ここ最近はクリスマス前後で業績予想の上方修正が続いていましたが、2014年のクリスマスには逆に業績予想の下方修正を発表しています。良いときばかりではなく悪いときにも透明性のあるIR、株主思いの施策が窺える同社です。同社が業績予想の修正を出さないと云うことは、事実、まだ修正に及ぶほどの変動は見込んでいないと云うことなのでしょう。

仮に2Qのこの利益率の低下が何かしらん業績変動の予兆であったとしても、鉄壁財務の同社ですから何も心配はありません。安定の配当を頂戴しながら回復を待つだけです。そうするうちに、またいずれ、ノーベル賞級のおおきな話でクローズアップされて…、と云うことを繰り返しながら、少しずつ高みに登っていって欲しいと願っています。

 

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